“予想された構図”にはまったイングランド
イングランドとアイスランド。サッカーにおける歴史と規模は大きく異なる両国が対戦することになった。これも出場国が24に拡大した醍醐味であろう。
大手ブックメーカーの「ウィリアム・ヒル」のオッズを見ると、アイスランド8.50倍、イングランド1.53倍と多くの人がイングランドの勝ちを予想していたことが分かる。
両チームのグループステージ3試合の戦いをデータに基づいて見てみる。UEFAのデータによると、攻撃のデータとしてイングランドの平均ポゼッション率57%、パス成功率89%、シュート数は65本。アイスランドはそれぞれ34%、72%、21。しかし、『Opta』のデータによると決定率はイングランドが7%、アイスランドは24%となっているのだ。アイスランドの24%という数字は出場国中最高である。
また、守備のデータとしてイングランドのクリア数が41回、アイスランドは96回、ボール奪取数は118回と135回となっている。
すなわち「ボールを保持してパスは繋ぐけれども、ゴールを奪えないイングランド」と「ボール保持にはこだわらず、少ないチャンスをものにするアイスランド」という構図がデータから予想することができた。
試合直後の前半4分。イングランドが先制するラーヒム・スターリングがラッキーなPKを得て、これをウェイン・ルーニーが沈めた。この時にはイングランドが力を見せつけて勝利を収めるものだと思われた。
しかし、2分後にアイスランドの攻撃パターンの一つであるロングスローからラグナル・シグルドソンが決めて同点。このゴールは「イングランド相手にも戦える」という勇気をアイスランドに与えたはずだ。
18分にはコルベイン・シグトルソンがミドルシュートを決めて逆転に成功。その後は予想された構図が試合終了まで続いたが、アイスランドが2-1で歴史的な勝利を飾った。