隙を見せるスペインの守備
普通ボールを支配し、多くの時間で攻撃を続けてプレッシャーを掛ければ相手は瓦解するものだが、グループリーグでは枠内のシュートもなかなか許さなかったイタリアの最終ラインは簡単に根負けしないだろう。そしてスペインには集中力が切れた隙を突かれ、サイドバックの裏のスペースをカウンターで貫かれるというリスクが生じる。実際彼らは、クロアチア戦で相手の速攻に2失点を喫した。
逆にイタリアにとってみれば付け入る隙となる。守備で相手を抑えてボールを奪った後、エデルやエマヌエーレ・ジャッケリーニらスピードのある選手を飛び込ませることができるかどうかが勝負を左右するだろう。
ただし今回はイタリアにも、バランスが瓦解するリスクがある。右ウイングバックのレギュラーとなっていたアントニオ・カンドレーバが、内転筋故障のために欠場するのだ。所属のラツィオよりも低いポジションでプレーしながら、守備とサイドの仕掛けの両方を担う彼の存在は、今のイタリア代表にとって非常に大きなものだった。
その不在は、戦術的に当然堪えるだろう。代役には、今季はローマでウイングバックを務めていたアレッサンドロ・フロレンツィが務めることになる。攻撃力は申し分ないが、守備は果たしてどうか。
イタリアの右、つまりスペインの左サイドは彼らにとっても攻撃の仕掛けどころである。フロレンツィの上がりは、今回先発が濃厚なコケで牽制。そこにジョルディ・アルバがオーバーラップを繰り出し、何よりアンドレス・イニエスタが基点を作ってくる。
ここで守備のバランスを保つことができなければ、イタリアは崩れていくことになる。CBの右を務めるアンドレア・バルザーリ、また右インサイドMFのマルコ・パローロらがいかに精密な距離感を保って守備をできるかどうかも重要だ。