型にはまらないレーブ・ドイツの強さ
43分、ドラクスラーが左サイドからエリア内に切り込んで、折り返しを、ゴメスがダイレクトで決めた。2-0。
レーブは、良い意味で、“これぞレーブのサッカー”を持っていない。アドバイスでも戦術でも、良いと判断したものは、何であれ取り入れようとする。ブラジルW杯の前に、ペップがラームをボランチで起用すると、それをドイツ代表にも取り入れた。しかし本大会ではなかなか上手く行かず、メディアを中心にラームを右SBに戻すよう周囲の声が高まると、すんなりと受け入れている。
スロバキア戦の後で、チーム・マネージャーのビアホフ氏は「我々は試合を重ねるごとに成長した」と述べたが、それもレーブの柔軟性があってのことだろう。不調と見るや、“すんなり”ゲッツェを外したように、妙なこだわりがないのだ。
後半が始まってからドイツ代表は、一見は守勢に回っているようで、スロバキア代表にボールを回させた。エネルギーを温存する。前回大会に比べて、トーナメントは1試合分、長くなった。
そして63分。クロースのCKから、フンメルスが競ってこぼれたボールを、ドラクスラーが右足ダイレクトで突き刺した。3-0。レーブは「我々は常に試合をコントロールしてスペースを上手く活用した。危なげない勝利だったね」と振り返る。
ドイツ代表は、スロバキア代表を3-0で下した。キミッヒの裏のスペースや同選手のセットプレーでの競り合いなど、守備面での課題をわずかに残したが、ドイツ代表の快勝だった。ゴメスは「僕らの目標は全くもって明らかに優勝だ」と言う。ドイツ代表は、“レーブらしいサッカー”で、頂点に向かってまたひとつ駒を進めた。
(文:本田千尋)
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