ウイングに見られる“ペップらしさ”
ゲッツェが外れたことは、“ペップらしさ”の証なのかもしれない。グアルディオラ前バイエルン監督は、昨季、ゲッツェを構想外とした。もちろんレーブは今大会でゲッツェを構想外にしたとは一言も言っていない。しかしゲッツェがピッチを去ったことで、ドイツ代表は、よりペップ・バイエルンらしくなった。
メンバーは、ほぼ半数がバイエルンの選手たちだ。クロースは元バイエルンの選手で、フンメルスは昨季ドルトムントに所属したが、監督トゥヘルはペップを敬愛している。強引かもしれないが、フンメルスもペップの系列として差し支えないだろう。
そしてスロバキア戦における何よりの“ペップらしさ”は、ウインガーを最大限に活かそうとしたことだ。ドラクスラーは、右に左にポジションチェンジを繰り返しながら、ドリブルで果敢に仕掛けた。開始6分には、早々に右サイドでFKを獲得している。24分には左サイドでヘクトルからパスを受けると、ドリブルから切り返してクロスを入れる。エジルのフィニッシュに繋がるチャンスを演出した。レーブは、ドラクスラーに「勇気を持ってプレーし、スペースを突くように」要求したのだという。
もっとも、“ペップらしくない”ところもある。ドイツ代表の両SBは、インサイドにポジションを取らない。そのまま前に高い位置を取る。この辺りは昨季のドルトムントに似ていると言えそうだ。それでも両SHが内側に絞り、中央に人数を掛けて数的優位を作ろうとし、またそれによってカウンターに備えようとするコンセプトは、ペップに共通するところである。
【次ページ】型にはまらないレーブ・ドイツの強さ