流れを変えたデシャン監督の決断
後半からディディエ・デシャン監督はイエローカードを受けていたエンゴロ・カンテを下げてキングスレー・コマンを投入。前半の4-3-3からアントワーヌ・グリーズマンをトップ下に据える4-2-3-1にシステムを変更した。
すると、この采配が勝利を呼んだ。前半はアイルランドの中盤のハードワークに苦戦を強いられたフランスだったが、システム変更によって自由を得たグリーズマンが2得点を決めて試合を決定づけた。
前半のグリーズマンはボールタッチも少なく、右サイド寄りでボールを受けるシーンが多かった。パス本数は20本だったのに対して後半は37本にまで増えたように、トップ下に移動してからはピッチ全体でボールを触ることができ、タッチ数も必然的に増えた。
特に、1トップのオリヴィエ・ジルーと見せた2つのコンビネーションが試合を大きく動かした。
1つは決勝点となった2点目のシーン。ロングボールを引き出したジルーがDF2人を引き付けてスペースを作り出し、そこにヘディングで上手くボールを落としてグリーズマンのゴールを演出した。
もう1つはシェーン・ダフィを退場に追い込んだシーンだ。カウンターでジルーを経由してボールを受けたグリーズマンがドリブルで仕掛けると、ダフィがたまらずファウルを犯してレッドカードを提示された。
ジルーがゴール前でパスを成功させたのは前後半それぞれ3本ずつ。しかし、後半はそのうち2本がグリーズマンに渡って決定的なシーンを作り出している。
アイルランドは攻撃でも守備でも屈強なフィジカルを活かしてフランスを困難に追い込んだが、後半にグリーズマンが見せたしなやかさがアイルランドを翻弄して勝利を導いたのだった。
(文:今関飛駒)
【了】