拮抗した前半、どのようにウェールズは抑え込まれたのか?
ウェールズの最大の武器であり対戦相手にとって最も脅威となる存在は、当然のことながらギャレス・ベイルである。とはいえ、1.5列目に位置するベイルがベストなプレーを発揮するためには後方からのボールの供給が必要となる。どれだけベイルを徹底マークしても、ボールを入れさせてしまえば北アイルランドの面々にベイルを止めることは困難となる。
そのため、北アイルランドは今大会2アシストのアーロン・ラムジーと1アシストのジョー・アレンとがいるウェールズの中盤にきつくプレスを仕掛けることで、思い通りに攻撃をさせないことを狙っていた。
その結果、ウェールズは立ち上がりから中盤より前に上手くボールを運べず、ボールを持ちながらも後方で回さざるをえない状況となっていた。
キックオフの笛から30分までのスタッツを見ると、支配率ではウェールズが63.7%と大きく上回っていたが、両チームの選手がボールを持ってプレーした位置を見てみると、ウェールズ陣地が59.96%となっていた。そして、チャンスメイク数で2回:3回、シュート数でも2本:3本と北アイルランドが僅かながら上回る結果となっていた。
そもそも、ウェールズにとってボールを持つ展開ということ自体が少なかったはず。加えて中盤に厳しいプレスを仕掛けられた状況を打開することができず、自陣でボールを失いカウンターを受けてしまっていた。
こういった状態により高い位置でボールを受けることができず、前半わずかシュート1本に終わったベイルは、後半から低い位置に降りることや左右に広がることで自らのスペースを作り出そうという動きを見せていた。
ベイルがボールを持ってプレーした位置を見てみると、前半は中央のエリアで46.88%だったのに対して後半からは31.03%。試合を通しては39.34%となっていた。