貴重な一撃を叩き込んだグリーズマン
次のアルバニア戦、デシャン監督はスパっとグリーズマンとポグバの2人をベンチに下げて、コマンとマルシャルを先発で起用した。その理由を指揮官は、「戦術的な理由。アルバニアのディフェンスはがっちり固まっている。だからスピードのある選手をサイドに使って打撃を与えたかった。それにグリーズマンは長いシーズンを戦ったあとで疲弊し、合流も遅かった」と説明した。そして「9日間で3試合を戦う。なにか違うな、と感じたらすぐ修正する」と付け加えた。
そうして先発したマルシャルも、やはり緊張からか硬くなっていた。マンチェスター・ユナイテッドではデビュー戦でゴール、FAカップ準決勝対エヴァートン戦では、アディショナルタイムに決勝戦をあげるなど、“クラッチタイム”に強いところ見せつけていたから、「ひょっとしてとんでもないことをしてくれるかも」という期待もあったが、ハーフタイムにポグバと交代。
デシャン監督いわく「全体のバランスが悪く、ボール奪取が効率良くできていなかったから」というのがその理由だった。そして68分には、コマンに代えてグリーズマンも投入する。アルバニアは89分間、渾身のディフェンスを続けていた。キックオフからあの時間帯まで、集中を切らさず守ったのは見事だった。しかしあの瞬間、一瞬ゆるんだ。
その隙をついて、ラミがゴール前にクロスを上げると、背番号「7」のグリーズマンが誰よりも高く、早く飛びついた。ヘディングシュートがネットに収まると、グリーズマンは「vamos!」とスペイン語で雄叫びを上げながら爆走。彼の自信を回復するための、価値ある得点だった。
アディショナルタイムには、それまで第1戦ほど見せ場のなかったパイエがまたも追加点。今年の3月から代表に復帰し、ここまで出場した6試合で4得点、そのうちの3点が89分以降という、彼は完全なる「終盤の男」。リードしていようとなんだろうと、最後の最後までゴールを追い求める姿勢の表れだ。