本命イングランドはホジソンの“変心”に期待
さて、“本命”のイングランドだが、ウェールズ戦の劇的なうっちゃり勝ちを呼んだ異例のホジソン采配(ハーフタイム明けのヴァーディー/スタリッジ一挙起用)を除いて、ここまでもう一つ褒めどころ、評価しどころに欠く。
ワイドはまずまず。特にウォーカーの力強さとララーナのアイディアは、最近の二人を考えると十分におつりがくる出来だ。ところが、肝心のセンターでルーニーが孤立して連携がぎくしゃく、そこへもってきて頼みのケインにまるでキレがない。ロシアとスロヴァキアに勝ち切れなかった所以である。
幸い、ディフェンス面では完璧とは言えなくともなんとか修復が利く状態…だとすれば、ここはヴァーディーをスタートに、機を見て中盤省略のロングボール・カウンターで勝負する「シンプルプラン」に切り替える手ではないか。
少なくとも、その同じ作戦を得意とするアイスランド相手なら、ポゼッション優先よりも相対的実力上位で優位に立ちやすいはず。いまだ眠りから覚めないケインを刺激して奮い立たせる効果も期待できる。
ニートなビルドアップにこだわらず、一発で決めてしまう。それでこそ、相手も警戒を強め、そのうちに地力で押し切れる。ひいては思い切りの良さ、潔さこそが、悲願の初優勝を呼び込む最大の得物になる!
先にちらつくフランス戦、ドイツ戦を見据える意味でも、百戦錬磨ゆえに考えすぎの感があるホジソンの、大いなる“変心”に期待したい。
(文:東本貢司)
【了】