既存戦力で穴埋めか、新戦力の獲得か
アデミウソンや藤本淳吾らを獲得した今季の補強も宇佐美の移籍をにらんだものだった。
実際、宇佐美の移籍が正式決定する直前、長谷川監督も梶居勝志強化部長も「宇佐美が途中で抜ける前提で厚みを持たせている」とシーズン途中での補強には消極的だったが、和製エースの流出が正式に決まると、その風向きが変わって来た。
「(補強については)強化部長と話し合って行こうと思う」と長谷川監督が言えば、梶居強化部長も「基本は今年シーズン初めにアデミウソンを獲った経緯もある。出来ればその中で選手を回してもらいたかったが、前半戦をしっかりと分析して巻き返すためには何が必要かを考えたい」と語った。
シーズンを通じて、何か一つでもタイトルを獲れば御の字、という凡百のクラブとは異なり、ホームである市立吹田サッカースタジアムで年末に開催されるクラブワールドカップへの出場権を手にするためにはJリーグタイトルの奪還は不可欠。カップ戦では絶対的な強さを見せるガンバ大阪だが、セカンドステージでの巻き返しには補強が不可欠な状況だ。
本来であれば、再び岩下敬輔が負傷離脱し、ビルドアップの起点になれるCBの獲得は急務だが梶居強化部長は「即戦力になれるCBを獲るのは難しい」と否定的。ならば、リーグ戦今季無得点のパトリックに代わるFWの獲得は最低限のテコ入れのはずだ。
2013年夏には宇佐美とロチャを獲得し、J2優勝に成功。2014年にはパトリックを加えたことで、チームは前線に最強のスピアヘッドを擁することに成功した。
時にはスランプに陥ったり、守備面で機能性を欠いたりしたこともあった宇佐美だが、その存在感の大きさをチームはセカンドステージで改めて感じることになるはずだ。
「2列目の選手も大森や藤本、阿部がいるし、若い世代では(堂安)律も良くなって来ている。そういう選手に頑張って欲しい」(長谷川監督)
アデミウソンの完全フィットを含めた、既存の戦力への期待感を口にする指揮官だが、更なる補強も立派な選択肢の一つである。
宇佐美が去った後、新たな時代へと突入するガンバ大阪。補強の有無をめぐる梶居強化部長と長谷川監督の判断が、セカンドステージの明暗を左右する。
(取材・文:下薗昌記)
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