もはやサイドのMFと化しているSB
ユーロもCLも試合の基本的な構図は同じで、ボールを支配して押し込む側に、守備ブロックで防いでカウンターアタックを狙う側が対峙する形である。ただ、CLよりも「できれば攻撃したい」と考えているチームは多いかもしれない。とはいえ、グループリーグでは力関係がはっきりしている試合がほとんどだ。
試合の構図ははっきりしているが、ポゼッション側が必ずしも勝利しているわけではなく結果も僅差が多い。どちらが優勢かははっきりしても、短期決戦ではどちらにも転ぶ可能性がある。
ポゼッション型のチームはフランス、イングランド、ドイツ、スペイン、クロアチア、ポルトガル。ベルギーはポゼッション型でスタートしたが、カウンターのほうが力を発揮できるため軌道修正した。ポゼッション型としてはSBに攻撃力が足りず、アタッカーの武器もパスよりもドリブルである。
ポゼッション型に共通しているのは中盤における人数の投入だ。
SBはもはやDFというよりもサイドのMFになっている。たんなるクロッサーではなくパスワークに秀でた人材が起用され、ドイツのキミッヒはもともとMFだ。自陣でSBらしい守備の仕事をする時間は少なく、プレーエリアが中盤にあるためにそれに適応する資質の選手が起用されている。いずれ呼称が変わるかもしれないが、SBが攻撃の幅を作る役割を担っている。
中央の構成はチームによって違うが、CB2人+MF1人が後方に待機する形はほぼ共通していて、それ以外のMFとSBは中盤に投入される。SBが幅を作る役割をしているので、キックオフ時はサイドに位置づけられているFWまたはSHは中央へ絞る。4-3-3の場合はウイングが、4-2-3-1ではSHが中へ入って「間受け」を狙う。
4-3-3のインサイドハーフは、中へ入るウイングのやや後方でフリーマン的にサポートしてパスの出し入れを担う。4-2-3-1ではボランチの1人がパスワークのサポート、もう1人が後方に残る。4-3-3のスペインならイニエスタ、4-2-3-1のドイツはクロースが、フリーマン的に前向きにプレーしてパスワークの軸になっている。