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英国のEU離脱がサッカーに与える影響は? 今日運命の投票、意外な楽観視の理由

text by 山中忍 photo by Getty Images

外国人選手への依存が高まるプレミア。まずは意識の改善を

カンテ パイェ
エンゴロ・カンテ(左)やディミトリ・パイェ(右)などプレミアリーグは外国人選手への依存度が高い【写真:Getty Images】

 また、条件緩和がなくとも、既に欧州トップレベルの選手であれば母国代表での出場数も十分なはず。つまり、真の一線級はビザを取って獲得することが可能であり、EU離脱を境にリーグのレベルが著しく低下する事態は考え難いというわけだ。

 どうせならと、現状でも労働ビザが必要な南米に目を向けるクラブが増えても不思議ではない。これまでは、気候や文化の違いからも選手獲得例が少なかったが、ブラジルやアルゼンチンとの間でプロ選手の売買をしやすくするような双方向の協定が結ばれるのではないかと見る専門家もいる。

 実力が平均レベルの選手に占めるEU出身者の割合は減るだろう。但し、国産プレミア価格ともビザ取得の手間とも無縁という理由で雇用されていた外国人の穴は、国産選手やユース出身選手で埋めればファンも一時的な戦力ダウンを覚悟で受け入れるのではないか? 国内には、地元色の低下を目の当たりにして、「我がクラブ」のグローバル化を手放しで喜べずにいるサポーターも多い。

 一般社会では英国がEU離脱を選んだ場合の世界経済へのデメリットが危惧されているが、英国サッカー界に限って物を言えば、数年前にFIFAで検討された「6+5ルール」のように、スタメンに一定数の国産選手を要求する外国人制限枠を設けずともトップリーグの「母国化」を進めやすくなるというメリットをもたらす可能性もある。

 国内リーグでありながら国産選手が3割程度というプレミアの状況には、EU離脱の是非に意見が分かれている国民も「好ましくない」との共通認識を持っている。投票でEU残留が決まった場合にも、第2、第3のカンテやパイェを獲得し続けられると安心するのではなく、「EU出身労働者」の安易な雇用と彼らへの過度の依存を改善する意識がイングランドのサッカー界には必要だ。

(取材・文:山中忍【ロンドン】)

【了】

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