EU離脱が決定でも国内は楽観的?
だからと言って、「これは一大事」と国内がざわついているわけではない。投票で「離脱」が過半数を上回ったとしても、実際にビザ取得を要求されるのは既存のEU国籍選手ではなく、あくまでも、離脱後に一般レベルでEU諸国からの雇用対応準備が整ってから移籍対象となる選手だろう。
プレミアの「ファースト・レディー」ことウェストハムのカレン・ブレイディ副会長のように、「サッカー界への影響を軽視せずに投票すべきだ」と他クラブの経営陣に呼びかけている「残留」支持派もいるが、これは経営面への影響も考慮してのこと。EU離脱となれば、欧州大陸側のスポンサー企業や投資家との商談が、現在よりもスムーズにまとめにくくなる可能性はある。
とはいえ、最も大掛かりなクラブ買収に乗り出す外国人富豪は、EU圏内ではなくロシア、中東、アメリカ、アジア勢が主流。プレミア20チームのオーナーを見ても、EU国籍者はワトフォードのイタリア人オーナーしかいない。プレミアリーグ経営陣とイングランドFA(協会)役員たちは、「実際の影響は蓋を開けてみるまでわからない」とでも言うかのように静観の構えを見せているが、現場のムードは楽観的だと言ってよい。
選手の代理人やスポーツ弁護士といった専門家の間では、EU離脱となれば選手のビザ取得条件が緩和されるとの見方がある。
業種を問わず労働ビザ申請に際しては、わざわざ国外から招く価値のある労働者である証拠として雇用者が高給を保障する必要があるが、週給にして20万ポンド(約3200万円)代の報酬を得る選手もいるプレミアだけに、英国移民局も特例的な措置を考えるのではないかと理解されているのだ。