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EURO2016 8年前

ドイツ、本職CF起用という解決策。向上したポゼッションの質。グループ首位で決勝Tへ

text by 本田千尋 photo by Getty Images

スタッツは向上も「1歩を踏み出した」に過ぎない

右サイドバックに入ったキミッヒ
右サイドバックに入ったキミッヒ【写真:Getty Images】

 基本的には前へのパスを選択し、敵陣でボールを回し続けたドイツ代表が、遂に均衡を破ったのは、30分のことだった。

 エジルからのボールを、エリアの手前でゴメスは、ダイレクトでエリア内に落とす。走り込んで、ドリブルでキープしたミュラーが折り返す。さらにゴメスが、左足で決めた。1-0。

 後半に入っても、ドイツ代表は北アイルランド代表を圧倒する。またもゲッツェはさほど見せ場がなく、55分にシュールレと交代となったが、ワントップのゴメスには、ボアテングからの縦パスが収まるなど、こうしたところにも戦術的変化が見られた。82分には、キミッヒのシンプルなクロスから、ゴメスがヘディングでシュートを打つ。北アイルランド戦では、トップのゴメスによっても、攻撃面が改善したと言えるだろう。

 69分にはケディラ、76分にはボアテングを下げるなど、決勝トーナメントを意識した交代も行う。

 そして1-0で北アイルランド代表を下すと、ドイツ代表は71%の支配率を記録した。ポーランド戦に比べれば、枠内シュートの数も3本から9本に増えるなど、質の高いポゼッションを展開したと言えるだろう。ポーランド戦とは違って、アタッキングサードに食い込んだ。

 しかしあくまで、ポーランド戦に比べれば、である。

 試合後のレーブは「我々は多くのとても良いチャンスを作り出したが、それらを無駄にした」と全く満足していない。そのことについては、キミッヒもミュラーも、口を揃えるところだ。

 ミュラーは言う。

「僕らは1歩を踏み出した。でも明らかに100%ハッピーじゃないね」

 ドイツ代表は、グループCを首位通過した。しかし、決勝トーナメントに向かって、まだ「1歩を踏み出した」に過ぎないのだ。

(文:本田千尋)

【了】

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