「6バック」崩すための戦術的変化
試合が始まると北アイルランド代表は、レーブの予想通り「6バック」で固めてきた。その戦術はフットボールを放棄したとも捉えられかねないが、北アイルランドを責め立てることはできないだろう。大国と向き合うために、小国はカウンターに頼らざるを得ない。
ゴール前に立て籠もる北アイルランド代表に対して、序盤からドイツ代表は攻め立てた。7分には、右サイドを上がったキミッヒが、中央のエジルにボールを送る。エジルはダイレクトでエリア内に走るミュラーにパス。ミュラーのシュートはGKに防がれたが、最初のチャンスを作り出した。
11分には、最終ラインのボアテングのロングボールから、エジルがシュートを打つ。ここは上手くミートできず、DFにクリアされる。
立て続けのチャンスにもかかわらず、決め切ることはできなかったが、この2つの場面に、ポーランド戦からの変化が凝縮されていたと言えるだろう。
1つは、キミッヒが入ることによって、右SBからチャンスを作り出すことが可能となったこと。これまでの2戦に右SBで先発したヘーヴェデスは、CBが本職だ。右サイドを上がったとしても、質の高いボールを味方に送ることはできなかった。
そして、もう1つは、エリアの手前でのダイレクトプレー。さらには、ボアテングからのロングボールを取り入れたことだ。ダイレクトでDFラインの裏にボールを入れることは、固い守備を崩すために、効果的と言えるだろう。
23分には、キミッヒがエリアの手前のゴメスに送ると、ダイレクトでゴメスは胸でエリア内に送る。ミュラーが走り込んでシュートを打つ。シュートはわずかに左に外れたが、引いて固めるアイルランドに対して、ドイツ代表はチャンスを作り続けた。ミュラーは「今日のピッチ上で僕らは(ポーランド戦に比べて)確かに改善した」と振り返る。