EURO3連覇へ。集中力の維持とミスの減少を
チームの心臓であるイニエスタ【写真:Getty Images】
クロアチアの戦いぶりを見れば、この結果は妥当と言えるだろう。前線からのプレッシャーとスペースを埋める守備のメリハリがチームとして統一して行われていた。ゴール前も高い集中力と体を張ったディフェンスで2失点目を許さなかった。スペインに勝って、1位突破を決めるという意思が強く表れていた。この勝利は決勝トーナメントに向けて自信になるに違いない。
一方のスペインはグループステージ突破を決めていたが、メンバーを変えずに臨んだだけに、トルコ戦からの流れを継続したかったデル・ボスケ監督にとっては不満の残る内容だったであろう。
UEFAのデータによれば、スペインは前節のトルコ戦からポゼッション率が57%から60%に上昇しているものの、シュート数、枠内シュート数は減少。走行距離もおよそチーム全体で5km減少している。ボールは保持するが、動きやスピードに欠け、ゴールに迫ることができなかったことを表わしている。
守備の面でもクロアチアのプレッシャーに対し、最終ラインでのミスが目立ち、デ・ヘアもあわや失点というシーンを招いた。セットプレーやゴール前での競り合いでも集中力を欠く場面もあった。2失点はいずれも終了間際であった。
グループ2位による通過になったことによって、ベスト16での対戦相手はEURO2008、2012両大会でも決勝トーナメントで戦ったイタリアとなった。
今大会のイタリアは“カテナチオ”を取り戻し、強固な守備と高い集中力でグループステージ首位での突破を決めている。イタリアがミスや集中力の欠如を見逃してくれるはずはない。前人未到のEURO3連覇へ。ミスの減少と集中力の維持が必要不可欠だ。
(文:小澤亮太)
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