騒動にめげずACLで快勝。しかし……
チェ監督の発言が出た直後の試合(5月24日、ホーム)では全北の攻撃的MFレオナルドが得意のフリーキックを鮮やかに決めるなど2ゴールを叩き出した。前日の事件はものともしないような選手たちの活躍で全北がメルボルンを破り、ベスト8へ進出。
快勝となったが、テレビ中継でのカメラはこの試合、出場していない選手たちの表情を執拗に映し出した。あえてロッカールームにも普段と違う空気感があると見せるかのように。
選手の顔よりも目立つモノがあった。サポーターの、文字通り熱心な応援ぶりがそれだ。掲げられた横断幕には『強化部長・監督よ、ともに行こう』と書いてあった。応援が勝利を後押ししたかもしれない。チェ監督は試合直後の会見で(それこそ最小限の言葉だけだったが)、異例とも言えるファンに対しての感謝の意を口にした。
しかし、私には全北ファンが『ともに行こう』と横断幕を掲げた“勇気”が、傷を隠そうとしているように見えた。“失敗をバネに”と言えば聞こえはいいが、不正の事実がそれでなくなるわけではない。TV中継もどこか本質から避けているように思えてならない。