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セリエA 8年前

ミラン売却はなぜ進まないのか? 凄腕交渉人も苦戦する内部事情

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

売却はいまだ決まらず…凄腕交渉人もお手上げ?

 ただ、ミランの売却が“決まった”と考えるのは早計だ。肝心のベルルスコーニが決断をしていないのだ。ご存知の通り心臓の疾患のため手術を受け、現在も入院中。したがって事実上交渉がストップしている状況であるし、何より彼が首を縦に振るかは不透明なのである。

 売却交渉について、ガラティオート氏は楽観的な見通しを持っていた。4月、地元紙のインタビューで「詳細は申し上げられないが彼らはレベルの高い集団で、確かな野望を持っている。8週間ほどで交渉は締結するだろう」と自信を持って語っていた。

 手腕は確かだ。アメリカでは70ほどの様々なプロスポーツクラブの経営・投資アドバイス業務を請け負っており、中でも2010年、4億5000万ドルとNBA史上最高額の経営譲渡となったゴールデンステート・ウォリアーズの買収劇に関わっていた人物として業界では知られた存在だった。

 そんな凄腕の人物が買収交渉に当たっていたのだが、まとまらずに8週間を超過した。ガラティオート氏は『コリエレ・デッラ・セーラ』のインタビューに対し「今まで我われが経験した中でもっとも難しいオペレーションだ」ともこぼすようになる。その難しさの主因となっているのは、やはりベルルスコーニのようだ。

「ミランは安心出来る良い人の手のもとに渡したい。できればイタリア人に」と公言。さらには選挙運動の遊説先で「子どもを食べていたような共産主義者の中国人にミランを売れというのか」などと漏らしたことも話題となったが、彼には逡巡がある。

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