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EURO2016 8年前

フーリガン報道にまみれたEURO。ピッチ上の激戦を覆い隠した場外の暴動【現地レポート】

text by 小川由紀子 photo by Getty Images

スペイン代表、デル・ボスケ監督の嘆き

なぜセキュリティチェックで発煙筒は見つからなかったのだろうか
なぜセキュリティチェックで発煙筒は見つからなかったのだろうか【写真:Getty Images】

 いくつかの会場の郊外にはキャンプ場が設けられているのだが、そこでは各国のサポーターが楽しく集っているというニュースもあった。あるクロアチア人サポーターも、「チェコサポーターと今夜は飲み会だ!」と明るく新聞の取材に答えていた。

 彼の母親は、マルセイユでの事件を聞いて心配していたそうだが、「自分たちは楽しくお祭り騒ぎしているだけだから」と無事を伝えたそうだ。

 ひとつ気になるのは、たとえば17日のチェコ対クロアチア戦ではサポーター席から発煙筒がピッチに投げ込まれて、試合が4分間ほど中断になり、ニースのファンゾーンでも、18歳の男が発煙筒を使ってけが人を出したが、爆竹も含めて、こうしたものは、セキュリティにひっかからないのだろうか?ということ。発煙筒など、スタンドやファンゾーンに持ち込めるものではないはずなのに、なぜセキュリティゲートで弾かれないのか?

 人を怪我させることができる危険物を、いとも簡単に群衆の中に持ち込めてしまう状態というのは、恐ろしい。この実態については、またの機会に検証してみたいと思う。

 スペイン代表のデル・ボスケ監督は、「(フーリガンの暴動が)サッカーのイメージと結びついてしまうのは悲しい」と嘆いていたが、そのとおりだと思う。そして今回は、日頃からの暴力行為への恐怖と鬱憤が、結びついてしまってさらにエスカレートした。

 この後はもう暴動事件の話題などなしに、純粋にサッカーの熱戦だけを堪能できると願いたい。メディアの人気記事欄が、試合の様子を伝えるレポートで埋まるように。

 でないと、ピッチ上で懸命にプレーする選手たちに申し訳ない。

(文:小川由紀子)

【了】

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