追放されたロシア人が目論む再入国
19日には、極右グループのリーダーを含む20人のロシア人サポーターが国外追放となり、ニース空港から直接モスクワへと送り返された。その中の一人は、イングランドサポーターの頭を強打した人物。被害者は現在も昏睡状態だ。しかし彼らは、大会が終わるまでにまたフランスに戻ってくるつもりなのだという。
「出国のときにパスポートに押されたのは普通のスタンプだった。だからまた戻って来るつもりだ」とモスクワの空港で話したというが、そのときロシアはもう敗退しているかもしれないのに、彼らは何をしにくるつもりなのだろうか?
大声で飲んで騒いでいるサポーター集団というのは、見慣れていない人たちにとっては物騒に感じるものだ。たまたま商用でフランスに来ていた日本人の会社員も言っていた。滞在先のホテルの近くのバーで、サポーターたちが毎夜遅くまで盛り上がっているらしいのだが、「とくにこちらに危害を加えてくるのではないとは思うけれど、その雰囲気がなんだか怖い」と。
それも当然の感覚だ。スタジアムに行きなれている人なら、ふだんの決起行動かどうか、なんとなく肌で感じるものだが、そういった世界に縁が無い人からみたら、体のデカい、スキンヘッドの兄さんたちが特大のビールジョッキを片手に大声を出していたら、怖い、と感じても不思議ではない。
実際は、サポーターはそういった人たちばかりではない。また、怖く見えても、害はない人たちが大多数だ。
スペインとチェコが対戦したトゥールーズでは、いたって平和的にサポーターが交流していたそうだ。イングランドと同じ英国圏でも、ウェールズや北・共和国の両アイルランド勢は各地で「愉快で楽しいサポーター」と大人気で、地元の人たちと混ざって連日盛り上がっているという。実際に彼らが通ってくるバーのオーナーも「まったく暴力的なところがないし、ただこのお祭り騒ぎを楽しもうとしている人たち。活気が出ていいよ!」とコメントし、教わったアイルランドの歌などを一緒に歌って盛り上がっていた。