スズキカップが最後の国際舞台。引退後のキャリアは…
代表での実績を見てみると、レ・コン・ビンは現在、最多得点(46ゴール)、最多出場(75試合)、連続スタメン出場(14試合)の記録を保持しており、もはや出場するたびに記録更新という状態だ。
引退宣言したことで、年末にフィリピンとミャンマーで共同開催されるAFFスズキカップ2016がレ・コン・ビンにとって最後の国際舞台となる可能性が高いが、これらの記録は年末までにさらに更新されることは間違いないだろう。
引退後の予定は明らかにされていないが、昨年末には、ハノイ市法科大学の聴講生入学願書を提出しており、以前にも体育大学の受験を希望していると述べるなど、学業に興味がある様子。また、人気歌手のトゥイ・ティエンを妻に持つため、ショービズ界での活躍もあるかもしれない。
どんな道を歩むにせよプロサッカー選手として現役でのプレーは今年限り。レ・コン・ビンは、最近行われた海外メディアのインタビューでこう語っている。
「引退後はサッカーをしていたころを思い出して、きっと涙することでしょう。今は残された現役生活でベストを尽くしたいという気持ちです。試合をしたい、もっと強くなりたい、毎日走り続けたい、毎日練習したい。サッカーを愛しているから」
貧しかった少年は、ベトナムサッカー史上最も成功したプレーヤーと言われるまでに上り詰めた。ベテランに域に入って往年のスピードは失われたが、得点感覚にはますます磨きがかかっており、年末のスズキカップでも、その力をいかんなく発揮してくれるはずだ。“ベトナムの英雄”の最後の雄姿をしっかりとその目に焼き付けてほしい。
(取材・文:宇佐美淳【ホーチミン】)
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