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アジア 8年前

元札幌レ・コン・ビンが現役引退。母国を牽引した“ベトナムの英雄”の知られざる波瀾万丈なサッカー人生

text by 宇佐美淳 photo by Jun Usami

タイ撃破に貢献し、英雄に。後にJリーグへ移籍

 クラブを離れた年代別代表でもファム・バン・クインの陰に隠れて、控えに甘んじていたレ・コン・ビンだが、2005年に突如として転機が訪れる。ファム・バン・クインが東南アジア版オリンピックとも呼ばれる重要な国際大会「SEA Games」で八百長に関与していたことが発覚して逮捕され、長期出場停止処分を受けたのだ。

 レ・コン・ビンは、エース不在となった代表チームにおいて、救世主的な活躍を見せ、2006年と2007年にはベトナムの年間MVPを連続受賞。瞬く間にベトナム代表の顔となっていった。極めつけは2008年のAFFスズキカップだ。

 決勝ファーストレグを2-1で勝利して迎えた宿命のライバル、タイとの決勝セカンドレグで、試合終了間際に値千金の同点ゴールを挙げ、ベトナムを初の国際タイトルに導き、名実ともに“ベトナムの英雄”となった。そして、これは“努力家”が“天才”の評価を完全に上回った瞬間でもあった。

 2009年には、ポルトガル1部レイションイスSCにレンタル移籍。2013年には、J2コンサドーレ札幌にレンタル移籍を果たし、東南アジア人Jリーガー第1号となった。Vリーグ復帰後の2014年には、史上初となるリーグ通算100ゴールを達成。同年末に移籍したベカメックス・ビンズオンでは、2014・2015シーズンのリーグ連覇に大きく貢献した。

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