良いプレーはアタッキングサード手前まで
ドイツ代表は、依然としてゲッツェが偽9番として十分に働くことが出来ない。47分には、クロースがDFラインの間に通した絶妙のパスを受けて、シュートを打ったが、GKファビアンスキの正面に飛んだ。34分にはエリアの手間で複数人に囲まれて、潰されていた。60分を過ぎて、ますます浮いてきたゲッツェは、66分にシュールレと交代となる。指揮官の期待に応えることはできなかった。
ボアテングは「僕らはアタッキングサードの手前までは良いプレーをした」と振り返る。71分にはドラクスラーに代わってゴメスが入ったが、ドイツ代表のサッカーの質は、それまでと変わらなかった。「サイドから攻撃を組み立てる」ことはなく、ゴメスの頭を目掛けてクロスを入れることもない。また、ボアテングは「相手の裏を取ることもなかったし、僕らは危険じゃなかった」と言う。
ポーランド代表は戦術的なコンセプトに一貫性があったが、ドイツ代表はどこかあやふやだった。ゴメスは何のために投入されたのか。レーブは「我々は前線でほとんど解決策を見出すことができなかった」と振り返る。
86分には、エジル、ミュラー、ヘーヴェデスのコンビネーションで右サイドからゴールに迫ったが、最後はパズダンにクリアされてしまう。4-4の守備ブロックに対する効果的な崩しのアイデアは見られないまま、ドイツ代表は、0-0でポーランド代表と引き分けた。
対ポーランド代表戦で、ドイツ代表は63%のボール支配率を記録したが、ボアテングの言葉を借りれば「アタッキングサードの手前まで」でボールを保持したに過ぎない。63%の中身は、質の高いものではなかったと言えそうだ。
21日のグループリーグ最終戦の相手、北アイルランド代表も、ドイツ代表に対して固い守備からのカウンターを狙ってくるだろう。レーブはどのような「解決策」を見出すのか。「アタッキングサード」に食い込むポゼッションを展開できるか。
ゴールを奪って、勝利して、決勝トーナメントに進みたいところだ。
(文:本田千尋)
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