イングランド、宿敵相手に“史上初”の逆転劇
散々な前半を終えたイングランドだったが、恐るべきは過去にまつわる不吉なデータだ。英放送局『BBC』によれば、イングランドはEUROとW杯の国際大会において、前半をビハインドで終えた試合で勝利したことは一度もない。
これまで11試合で前半をビハインドで終える試合はあったが、9度で引き分けに持ち込んでいる一方で2敗を喫しており、後半45分間での逆転勝ちはイングランドにとって難題であった。
ホジソン監督は、低調に終わったケインとスターリングに前半のみで見切りをつけて、後半からジェイミー・ヴァーディーとダニエル・スターリッジを投入。すると、この決断がイングランド史上初の逆転劇を呼ぶことなる。
交代出場した2人が揃ってゴールを決めて、イングランドを逆転勝利に導いた。特に後半アディショナルのスターリッジの得点は、前半にはあまり見られない形であった。
ゴール前でスターリッジ、ヴァーディー、デレ・アリとテンポ良くボールを繋ぎながらゴール前に侵入し、最後はスターリッジが巧みにシュートを沈めた。
前半の攻撃のセットはコンビネーションを使ってゴールに迫るシーンが少なく、単調なロングボールが目立った。前半は37本のロングボールを放っていたイングランドだが、後半には27本に減っている。
特にスターリッジは1対1の勝率が100%、2度の決定機演出に決勝点奪取と、指揮官の期待に完璧に応えて見せた。
かくして、イングランドは同じ“イギリス”であるウェールズ相手にミッション・インポッシブルを遂行し、貴重な1勝を収めることとなったのであった。
(文:今関飛駒)
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