“同国対決”となったイングランド対ウェールズ
今大会のグループステージの組み合わせが決まって、最初に注目が集まったのはイングランド対ウェールズだろう。
同じ“イギリス”でありながら過去に袂を分かった両協会は、片や国際大会の常連でありながら、もう一方はEURO初出場の新顔である。
1958年W杯スウェーデン大会以来58年ぶりの国際大会となったウェールズが最後に宿敵イングランドを倒したのは、32年も前のこと。因縁の対決は、目下イングランドが4連勝中である。
ロイ・ホジソン監督は初戦のロシア戦と同じくハリー・ケインを頂点にアダム・ララーナとラヒーム・スターリングが脇を固める3トップを採用。しかしこれがウェールズの5バックを前に単調な攻めに終わる。
プレミアリーグではトッテナムでゴールを量産したケインだったが、自慢の得点力もこの日は沈黙。UEFAのデータによれば、前半のケインのシュート2本は、1本が枠外でもう1本は相手にブロックされてしまった。ボールタッチ回数も少なく、味方にパスを供給した本数はたったの7本だった。
また、スターリングは開始早々に決定的なチャンスを逸した場面以外に見せ場はなく、チャンスメーク数は0回というパフォーマンスに終わっている。
そんなこんなのイングランドを横目に、ウェールズはガレス・ベイルがスロバキア戦に続いて見事な直接FKを叩き込んで先制を奪う。ウェールズにとっては、これが最初の枠内シュートだった。
ちなみにイングランドが最後に直接FKを決められたのはEURO2004でジネディーヌ・ジダンにゴールを許して以来12年ぶりのことで、また、同一大会で2得点をFKによって決めた選手は2人(ミシェル・プラティニとトーマス・ハスラー)しかいない。