大阪で行われたウルグアイ代表引退会見
3月12日午前11時、ディエゴ・フォルランは記者会見を開き、ウルグアイ代表から退くことを発表した。
この模様はウルグアイ本国にもライブで伝えられたが、W杯南ア大会得点王、ウルグアイの国民的英雄の引退会見を遠く離れた日本で行うとは、なんという運命の巡り合わせというべきなのか。
ちょうど1年前、フォルランはJリーグにやってきた。前年4位で終えたセレッソ大阪は、“強力な助っ人”を得て、優勝も夢ではないと誰もが期待した。しかしまさかの2部降格という結末。そしてフォルランにとって屈辱だったのは、シーズン終盤の3ヶ月間は出場機会さえ与えられなかったことだ。
クリスマス前にウルグアイへ帰国したフォルランは約1ヶ月半休暇を過ごし、セレッソのプレシーズン合宿に2月1日に合流。3月8日に行われた開幕ゲームでは同点ゴールを決めている。
会見は「こんにちは、そして地球の反対にいるみなさんにもこんばんは」という挨拶で始まった。後に質疑応答の時間も設けられ、ある記者が「ウルグアイ代表の後輩に何を伝えたいか」と質問した。
「代表というのはプロセスを歩みながら前に進むもの。タバレス監督が必要なクオリティを持つ選手を招集している場所だ。私の方から言葉をかける必要はないだろうと思う。しかし、先ほども言ったけれども、常に言葉ではなくプレーや姿勢で示すということを心掛けてきた。
引退の話を仲間にしたときに、選手としてだけでなく、人として、仲間として大事にしてくれてありがとうと言われた。逆に、そういった部分を伝えることはできたのかなと思っている。『代表である以上、選手である以上ベストを尽くす。サクリフィシオをしてチームのために闘う』というところは彼らにも伝わっているのかなと感じた」
キャプテンであるフォルランが代表の中でも心がけていたこと。それこそが彼がセレッソに残したかったことでもあったのではないだろうか。
(文:竹澤哲)
【取材協力:WOWOW】