日本サッカーの発展に不可欠な経済効果
海外の選手で連帯貢献金が活用されたケースは他にもある。スペイン代表のペドロ・ロドリゲスがバルセロナからチェルシーに移籍した際、17歳まで所属していたテネリフェ島のラキ・サン・イシドロ(5部相当)に連帯貢献金が支払われている。
(※誕生日の関係で12歳~16歳の5年間が連帯貢献金の適用期間となる)
報道では2800万ユーロ(約33億6000万円)とされており、前述の計算式にあてはめるとラキ・サン・イシドロは1.5%の42万ユーロ(約5040万円)を得ることができる。ラキ・サン・イシドロの年間予算は10万ユーロといわれているため、4年分の金額に相当する。
連帯貢献金制度はJリーグ間の移籍には当てはまらないため頻繁に発生することはないために、国内の指導者の間で広く認知されているとは言い難い。
高原氏も、「そもそも、このルールについて正確な理解ができていません。また、それはこのルールが適応されるケースが身近にないからだとも考えてます」と述べている。
前述のように、ほとんどの指導者は利益のために選手を育成しているのではない。しかし、多くの指導者、そしてサポーターや関係者がこの制度の存在を理解しているかどうかは非常に重要なことである。
サッカーの世界において、経済的な側面は度外視することはできない。連帯貢献金によって日本サッカーに経済効果をもたらすことは、育成年代の発展に繋がっていくことでもある。
(取材・文:今関飛駒)
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