「優勝できると信じている」
「私は就任後初めて選手たちと話し会った時のことを思い出した。今回、選手たちが全員揃ったら私はこのように話すだろう。『決勝戦まで到達して、そして優勝できると私は信じている。そしてみんなで信じようじゃないか』。
それは信仰といった類のものではない。信じられるかどうかが問題なのだ。ポルトガルは優勝候補ではないし、うぬぼれも持っていない。しかし我々はどこが相手であろうとしっかり立ち向かえる能力を持っているのだ」
5月17日、フェルナンド・サントス監督は、3月に落成したばかりのポルトガルサッカー連盟のトレーニングセンター「シダーデ・ド・フテボール」にて、ユーロに臨む代表メンバー23名を発表し、その後、記者からの質問に答えた。
選考の理由や大会までの準備、ロナウドについてなど、ひととおりの質問が出尽くした頃、ある記者が選手たちには最初に何を話すのかと尋ねると、フェルナンド・サントス監督は、引き締まった表情で冒頭のような答えをしたのだった。
2014年ワールドカップ直後の9月、ユーロ予選初戦は、ホームにアルバニアを迎え、0対1で敗れている。この敗戦によって解任されたパウロ・ベント監督の後を継いで就任したのだが、ギリシャ代表をワールドカップベスト16まで導いたフェルナンド・サントス監督だった。
就任時、ポルトガルはどん底に沈んでいた。
ワールドカップブラジル大会では、ロナウドの不調もあったが、グループリーグ敗退という予想もしなかった結果で終わり、さらにユーロ予選が始まったと思ったら、ホームでFIFAランキング57位のチームに敗れるという醜態をさらす。選手も国民もみな自信を失っていた。
フェルナンド・サントス監督が最初に選手たちを前に話したのが、「フランスに必ず行けると私は信じている。予選を1位で通過できるとみんなが信じるべきだ」というものだった。そして、ポルトガルはその後7戦全勝し、本大会出場を決めたのだった。