わずかな弱点も即座に修正。データ上でもウクライナを圧倒
26歳のフットボーラーは、ブラジルW杯で世界王者となると、バイエルンからレアル・マドリーに移籍して、さらなる経験を積んだ。大会前には2度目のチャンピオンズリーグ(CL)制覇を成し遂げた。そして「コンディションは万全だ」と言う。
クロースによれば、日程的にCLの決勝まで戦った方が、国内リーグを終えてユーロまで中途半端に間が空くよりも、コンディションを維持しやすいのだそうだ。
その言葉通り、ドイツ代表に先制点をもたらしたのは、クロースだった。19分、クロースのFKから、ムスタフィが頭で合わせてねじ込む。1-0。
27分にはCKから、カチェリディのヘッドをノイアーが右手一本で防ぐと、28分にボール支配率は64%を記録する。先制の勢いそのまま、ドイツが試合を優勢に進めていく。
もっとも、前半のドイツに問題がない訳ではなかった。レーブは「前半に我々はディフェンスとオフェンスの間に穴があった」と振り返る。特にそれは右サイド、ヘーヴェデスの裏において顕著だった。
37分、反対サイドのヤルモレンコから、右サイドの裏に走り込んだコノプリャンカにボールが出る。コノプリャンカがゴール前のゾズリャに折り返したボールは、ボアテングがカットすると、ライン上でかろうじてクリアした。あわやの場面だった。
しかしそれも後半に入ると、ドイツ代表はしっかりと修正する。レーブは「後半に我々はポジショニングを改善し、それによってボールをより確実に保持できるようになった」と振り返る。左SBヘクトルとともに高い位置を取った右SBヘーヴェデスの裏は、ボランチのケディラがカバーに入る。また右SHのミュラーも、自陣にまで戻って献身的に守備をした。
そしてボアテング、ケディラ、クロースを軸にボールを回し続け、ウクライナをバイタルエリア付近に押し止める。ウクライナは、引いてカウンターを狙うしかなかった。後半のドイツ代表は、前半に比べてパスの本数を約70本伸ばし、ウクライナの159本に対して374本と圧倒した。