ジョージア相手の敗戦で生まれた不安
スペインがグループステージで対戦する3チームに対してデル・ボスケ監督は次のようにコメントしている。
「初戦で当たるチェコだが、6月1日に行われたロシアとの試合(2対1でチェコの勝利)は見ている。よくオーガナイズされたチームであるし、我々にとって厳しい相手となるだろう。この試合に勝つことが勝ち進むためにも重要な意味を持っている。
トルコの選手はナショナルチームのユニフォームをまとうと、とても感情的に高まり、大きな力を発揮する。時には秩序を失うが、しかし闘志満々で戦ってくるだろう。
クロアチアに関しては今さら話すこともないだろう。モドリッチ、ラキティッチ、コヴァチッチはよく知っているが、それ以外にもたくさんの優れた選手が揃っている。2012年大会で対戦し、とても苦労させられたことを覚えている」
大会に向けて、6月1日にザルツブルクで行われた韓国戦にも大勝し、準備も順調に進んでいるかのように思われた。しかし6月7日マドリードで行われた壮行試合では、FIFAランキング137位のジョージアを相手に思わぬ敗戦を喫してしまったのだ。デル・ボスケ監督は試合後次のように話した。
「今回のように気を抜くようなことがあってはならない。我々にとっては重要な授業となったはずだ。集中力も、熱意も欠けていた。試合の流れを変えようとした時にも、リアクションを示すこともできなかった。何かを熱望しなければ勝てないのだと言うこともよく分かったはずだ。そのことを知っただけでもためになったといえるだろう」
特に無得点に終わったことが心配として残ったようだ。ユーロで対戦する相手は、この日のジョージアのように守りに徹してくることも考えられるからだ。
「我々が気持ちよく、そして自信を持ってフランスへ旅立つためによい機会となるはずだったが、大きな失望となってしまった。完全に悪い戦い方をしたわけではなかったが、引いて守る相手に対して、しっかりと点を決めることができなかったのだ」
攻撃の鍵を握るモラタは「怪我はもう大丈夫。試合に出る準備は出ている」と話すが、デル・ボスケ監督はフランスに入ってからも、様々な攻撃オプションを試している。ひとつにはブスケツ、セスク、イニエスタを中盤に、前線にはシルバ、ノリート、アドゥリスというものだった。
「我々がどのように戦うのか、それは全員がよく分かっている。しかしまたそれはフレキシブルでなければいけない。守ってくるような相手には特に両サイドのプレーヤーが重要となってくるだろう」
スペインの初戦となる対チェコ戦は6月13日トゥールーズにて行われる。
(文:竹澤哲)
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