州のリーグで優勝してもAリーグに上がれず。入れ替え戦もない状態
試合数以上の大きな問題として、Aリーグが抱えるのは下部リーグとの入れ替えがない事実。そのことが下部リーグとのレベル差や条件、環境面の差など様々な歪みを生じさせている。
2013年、FFAはそれまで州ごとにバラバラだった州のトップリーグの開催様式を“ナショナル・プレミア・リーグ(NPL)”という呼称の下に統合。それから3年、各州のNPLの運営はかなり整備されてきた。日本の天皇杯にあたるFFAカップも始まり、下部リーグチームにも公式戦でAリーグクラブと戦うチャンスが与えられるようになった。これらは間違いなく、進歩だ。
しかし、それでも州・地域ごとのNPLのレベル差や条件面、環境面の差などは大きく、Aリーグと州単位のコンペティションの間にも大きなレベルの隔絶を生んでいる。7つの州の8つの地域に所属するNPLクラブ90のその全てを「豪州2部」と呼ぶのには正直、語弊がある。
NPLは、州単位のサッカー協会(NSW州は、州でも南北の地域ごとに分かれる)のヒエラルキーのトップ、いうなれば「州1部」として存在すると考えるほうがスムーズだ。
現行のシステムだと、仮に某州のNPLに実力的に他を圧倒、Aリーグをも実力的に凌駕するクラブが表れたとしても、そのクラブはAリーグには上がれない。たとえ、各地のNPLのチャンピオンが集まるNPLファイナル・シリーズで圧倒的な強さを見せても、その“先”はない。
入れ替えのシステムが無いなかで、各州のトップリーグであるNPLがヒエラルキー上の上位にAリーグしかないことを盾にして、全てのクラブが「豪州2部」と自称すること自体に少々無理がある。だからこそ、筆者はNPLをして「豪州2部相当」ないしは「実質豪州2部」という表現に留め、最近は意識的に「○○州1部」という表現を使うようにしている。