決定機外した浅野。単に1人のミスではなく根深い問題
1968年メキシコ五輪で銅メダルを勝ち取った釜本氏は、そういった競争のない文化こそが、ボスニア戦の終了間際に同点ゴールのチャンスを迎えた浅野拓磨がシュートでなくパスを選択してしまうことにも繋がったと考えている。
「あそこに別の誰かがいればパスを出してしまう。誰もいなかったとすれば自分で行っていただろうね」と同氏は付け加えた。
サンフレッチェ広島所属のストライカーが自らゴールを決めにいかなかったことには、ハリルホジッチ監督も同様のショックを受けていた。
「浅野なら簡単に決められたチャンスだったと思う。だがパスを出そうとしてしまった。まだ21歳の選手であり、単に経験不足によるものかもしれないが、これ以外にもたくさんのチャンスがあった」
たまたま1試合良くないこともあるだろう。これまでの短いキャリアの中で、彼がクラブと代表チームの両方でゴール前での勝負強さをたびたび披露してきたことも忘れてはならない。だが本田や釜本氏が指摘するように、これは単に1人の選手が一瞬の判断に迷ったというだけのことではなく、何度も繰り返されている根深い問題だ。
「スコアは2-1だったが、日本にもたくさんチャンスはあった。一番の問題は、そういうチャンスを決められないことだ。もう何十年も続いている問題だ」と釜本氏は締めくくった。
日本が本当にサッカーの最高レベルに挑戦していきたいのであれば、ここを変えていくことに取り組まなければならない。
(取材・文:ショーン・キャロル)
【了】