ウェールズには隣国出身の選手も。ライバル関係あるが……
ウェールズのメンバーには、イングランドで生まれた選手が9人もいる。キャプテンのアシュリー・ウィリアムズのほか、ジェームズ・チェスター、ジョナサン・ウィリアムズ、デイビッド・エドワーズ、ジョージ・ウィリアムズ、アンディ・キング、サイモン・チャーチ、サム・ヴォークス、ハル・ロブソン=カヌの9人だ。彼らはいずれもウェールズ生まれの親や祖父母を介してドラゴンズでプレーする資格を手に入れている。
中でもイングランドとウェールズのサッカーの繋がりの深さをよく表しているのがロブソン=カヌだろう。イングランドのアンダー世代でプレーしていた選手だが、最終的に祖母の出身国を代表してプレーすることを選んだ。
2008年にはU-19イングランド代表でライアン・バートランドとともにプレーし、その翌年にもU-20代表でジョーダン・ヘンダーソンとチームメートとして過ごした。だが6月16日のランスでは、3頭のライオンではなく赤いドラゴンの紋章を身に着け、その2人と敵として相見えることになる(編注:3頭のライオン=スリーライオンズはイングランドの愛称)。
国境を接する2ヶ国として、当然ながらイングランドとウェールズにもスポーツにおけるライバル関係が存在する。ウェールズで人気の高いラグビーユニオンがその最たる例だ。とはいえ、スコットランドや北アイルランド、アイルランドとイングランドとのライバル関係ほど熱く激しいものだというわけでもない。
北アイルランドにおける近年の武装闘争の歴史が、アイルランド島の2ヶ国とイングランドとの対戦に、望ましくない形での緊張関係を加えていることは否めない。スコットランドとの間にも長く血なまぐさい過去が存在することに加え、サッカーにおいてはかつて同等の戦力を有していると見なされていたこともあり、“オールド・エネミーズ”の激突はいつも白熱し、しばしば不愉快なまでの雰囲気となってしまう。