思わぬジョーカーになりそうなカンテ
ジルーがカメルーン戦とスコットランド戦で計3得点をマークして自信を得たことも大きい。所属するアーセナルではたびたび批判の対象となり、一部のコアなベンゼマファンからは、「ジルーではエースは務まらない」という声もあがっていた。
現チームの攻撃陣には実質的な「主砲」はいないが、トップでプレーする彼は得点をあげる重責を常に感じながらプレーしている。その彼がこの直前の試合で連続得点というのは、チームにとっても朗報だ。
そしてCL決勝でPKを外し、敗戦の失意を味わったグリーズマンも、その悔しさをEURO で晴らすべく奮闘すれば、レ・ブルーのオフェンスは本戦でも相当活気あるものになる。
そんな中、思わぬジョーカーとなりそうな存在がカンテだ。ディアラの離脱で中盤の底を任されるのは、デシャン監督のチームで長らくレギュラーの座をキープしてきたキャバイエではなく、おそらくカンテだ。
カメルーン戦の後半から出場したカンテは、プレーの手札の多さをまざまざと見せつけた。このポジションに与えられた、相手からボールを奪取してポグバやグリーズマンらプレーメイカーにさばく、という役割をこなすだけでなく、マッチアップした相手への的確なマーク、空いたスペースに敵の虚をつくような面白い動きでするりと入り込む絶妙なポジショニング、ときには前線まで上がってシュートチャンスにも絡むといった、アクセントになる動き。カンテがいるだけで、フランスの展開策はいくつも増える。
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