疑問の声も挙がったラミの招集
シュナイデルランとウンティティの2人は予備要員に入っていたから妥当な人選と受け止められた。シュナイデルランは、代表歴は2014年6月からと浅いが、プレミアリーグのサウサンプトンでの活躍が評価されてその夏のワールドカップ出場メンバーにも抜擢されると、グループリーグ最終戦のエクアドル戦では先発フル出場している。
ウンティティは今回がA代表初招集だが、前述のようにリヨンでのキャリアは長く、ドーピング問題などもあってママドゥ・サコが招集外になっていた状態にあって、パワーとスピードを備えたディフェンダーの選択肢としては適任だった。
もっとも疑問視されたのはアディル・ラミだ。代表招集は2013年の6月以来3年ぶりで、予備要員にも入っていなかった。
ヴァランは、W杯後の全試合、つまり、今回のEUROへ向けての準備試合には全戦出場しているデシャン監督の懐刀。監督の構想では、今回のEUROでディフェンスの柱であるセンターバックのコンビを組むのはコシールニーとヴァランであると、おそらく14年のW杯後から決まっていた。
そのヴァランの代役が、代表戦から3年もご無沙汰していたラミだとわかると、「なぜ彼なんだ?」という声がサポーターからも一部の評論家からも上がった。
しかしラミを招集した時点で、デシャン監督は本戦で彼をコシールニーと組ませることを決めていたのだろう。5月30日のカメルーン戦でさっそく2人を先発フル出場させると、本戦前最後のテストマッチ、6月4日のスコットランド戦でもこのコンビにセンターバックを任せた。カメルーン戦は3?2で勝ちはしたが2失点を喫し、とくに両失点ともラミが絡んでいたことで、彼は厳しい非難を浴びた。
3年間のブランクはやはり大きいのか、とくにリズム感、敵とのマッチアップ時のタイミング、距離感といったものがワンテンポずつずれている感じで、1点目も得点者アブーバカーをマークしていたものの一歩遅れ、2点目も、ゴールを決めたチュポ・モティンへのラストパスを防ぎきれなかった。
しかし次のスコットランド戦では零封。フランスが終始オフェンシブだったことで相手にほとんどチャンスを与えなかったこともあるが、「クリーンシートを守った」という実質的な結果を出せたことは精神的には大きくプラスになったにちがいない。