希望を抱くイングランド国民。合言葉は「攻撃」
6月2日の最終テストマッチでも、表面的には零封勝利(1-0)だが、内容的には攻めるべきチームである事実が改めて明らかにされた。前半の内に退場者を出したポルトガルを相手に、FKの流れからスモーリングがヘディングを決めた終盤まで得点できなかった背景には2トップの不発がある。
ケインとヴァーディーは、相手ボールとなるとアウトサイドでの守備を忠実にこなしていたが、逆に攻撃に転じる際には揃って位置が深すぎたり、互いの距離が空き過ぎたりしていて、巧みなケインの連係能力も裏を狙うべきヴァーディーのスピードも生かされなかった。
EURO本番の開幕2戦でカウンター主体のロシアとガレス・ベイル頼みのウェールズを確実に叩き、グループB1位通過を狙うためにも自軍の長所である攻撃に注力すべきだ。
国内には、残る1チームはスロバキアという組み分けに恵まれたグループを順当に突破できれば「ひょっとするかも」とのムードがある。“サプライズ・シーズン”の締め括りは、66年W杯以来となる代表史上2度目の国際大会優勝か?
優勝への期待を大きく裏切られた06年W杯から10年、イングランド国民は「攻撃」を合言葉に希望を抱きながらこの夏を迎えようとしている。
(取材・文:山中忍【ロンドン】)
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