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EURO2016 8年前

EURO開催国フランスのいま。テロへの警戒。厳戒態勢下でもファンゾーン設置の意義【現地レポート】

現地時間10日に開幕するEURO2016。開催国フランスでは、昨年のテロ事件が相次いで以降、ファンゾーン設置の有無が議論の的になった。最終的に各地でファンゾーンは設けられることになったが、厳戒態勢下であることに変わりはない。(取材・文:小川由紀子【パリ】)

text by 小川由紀子 photo by Yukiko Ogawa

大雨、ストライキ…不便極まりない状況

大雨の影響で水かさが増したセーヌ川
大雨の影響で水かさが増したセーヌ川【写真:小川由紀子】

 5月下旬から6月上旬にかけて、フランスの、とくにパリから北部では記録的な大雨が続いた。

 ちょうどこの時期に開催していたテニスの全仏オープンでは、期間中の5月30日、16年ぶりに雨で全試合が順延となり、スケジュール消化のため、男子シングルスのノバク・ジョコビッチは4回戦から準決勝までの3試合を3日連続でこなすはめになった。(それでも優勝してキャリアグランドスラムを達成したのだが!)

 パリの街を流れるセーヌ川も水かさが増えて側道付近まで迫り、貴重な所蔵品に影響が及ぶのを防ぐため、ルーブル美術館やオルセー美術館など河岸に近い美術館や国立図書館は数日間閉館した。またパリ観光の名物のひとつであるセーヌ川遊覧も、船が橋の下をくぐれないほど水面が上がったために運休となった。

 郊外ではいくつかの道路が浸水して通行止めになり、18000世帯で停電になるなど、一時は深刻な事態となった。

 ただでさえ人々にとって不便きわまりない状況に輪をかけたのがストライキだ。政府が打ちだした労働法改正案に反対するもので、おもに国鉄、地下鉄など交通機関がすでに無期限ストを決行中だ。

 路線によっては完全に運休、または間引き運行となり、利用客の足は乱れている。たとえばEURO開幕まで1週間を切った6日(月)の時点では、パリの玄関、シャルルドゴール空港から市内へ移動するRER B線は通常の1/3本という運行状況だ。完全に解除されるのがいつかは発表になっていない。もし要求が通らなければ、組合側はあえてEURO期間中もストを続行して会社側にインパクトを与える気でいるという。

 また、ナショナルフラッグのエールフランス航空もパイロット達が6月11日から14日までストに入ると発表している(振り返れば98年にフランスで開催されたW杯のときも、エールフランスはストを決行していた)。

 さらにはタクシー組合も、ドライバーライセンス取得の規則変更に反対して、スタジアムに向かうチームバスを妨害するといった手段で抗議行動に及ぶことも辞さないと表明している。

 そして6月14日には、全国的にデモ集会が行われることになっている。行進ルートの近辺は道路が封鎖されたり、まれに警備隊との衝突もあって物騒なので、フランスへ来訪する予定の方は、この日の行動エリアには気をつけたほうがいいだろう。

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