左右で違う動きをしながらの連動。イメージは共有できてきた
2点目は相手の時間帯を耐えた後のシチュエーションだが、柏木のサイドチェンジから長友が絶好のクロスを送り、うまくゴール前に入り込んだ香川が合わせた形。
3点目は柏木の右前方への展開から流れた岡崎が後ろに戻し、今度はライン際にポジションを取っていた小林がグラウンダーで出したクロスを清武がスルー、最後は香川が見事なターンから流し込むという美しいゴールだった。
左サイドから攻撃を組み立てる時に右サイドはどうオフ・ザ・ボールの連携をしてチャンスにつなげるのか、右でボールを持った時に左はどう振る舞うのか。ワンタッチ&ツータッチを中心とした速いパスワークを掲げる中でも、そうした攻撃のイメージ共有はチームの中で着実に進んできている。
今回はそれが序盤から見事にはまる形で先制点が生まれ、大量得点の呼び水になった。アジア最終予選、さらにはロシアW杯を見据えた強化をしていく中で、バリエーションとクオリティを同時的にレベルアップさせていくことが重要になる。
ブルガリアは守備の組織がコンパクトで局面の当たりも強かったが、日本に対するスカウティングが甘く、ポゼッションで押し込んでこないために日本が攻撃人数をかけていききやすいという相性的なメリットもあった。
おそらく次の対戦相手となるボスニア・ヘルツェゴビナはブルガリア戦を見て試合に臨んでくるだろう。日本で1試合やっている部分での上積みもあるはず。その相手をどう崩していくか、また狙った通りに崩せない場合にどう変化させていくかなど、観る側としても、もう一段引き上げてチェックしてみたい。
(取材・文:河治良幸【豊田】)
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