実は効果的だったサイドバックの使い方
7-2と大勝したブルガリア戦の結果に関しては賞賛もあれば“相手が緩かっただけでは?”という懐疑的な意見も見られる。だが、攻守の切り替えや“デュエル”といったハリルホジッチ監督が就任から強く要求し続けているコンセプトを試合で発揮できたという部分ではポジティブに評価できる試合だった。
加えてフィジカルの強い相手に対して1タッチ&2タッチで間を突くコンビネーションは仮に相手が同じブルガリアだとしても、1年前ならできなかっただろうと思えるプレーがいくつもあった。
その中心が2列目でコンビを組んだ清武弘嗣と香川真司であったことは言うまでもないが、筆者が着目したのはSBの活かし方。主に左で攻撃が組み立てられる状況で、同サイドの長友が絡むプレーは1つ有効になるが、点を取る狙いは右サイドの方にも表れていた。
その象徴的なシーンが、岡崎慎司が決めた先制点だ。
日本がボールを持ったところでブルガリアはブロックを高い位置まで引き上げてきた。そこで森重真人が前方の清武弘嗣にパスを付けると、左のライン際を長友佑都が駆け上がったが、清武はワンタッチで中後方の長谷部誠に折り返す。
注目したいのはこの時の前線の位置関係。岡崎と香川が中央に並ぶ形になり、その手前で構えるDFラインの外側に小林悠がポジションを取っていた。
「僕はなるべく斜めに動いて(酒井)宏樹のサイドのスペースをあけるようにしていたんですけど、そこは宏樹がうまく使えていた」
そう説明する小林が空けたスペースに酒井宏樹が使って走り込み、そこに長谷部がサイドチェンジのパスを送ったが、さらに興味深い現象が起きていた。