“信念の男”川島永嗣
「今回(川島)永嗣さんが帰ってきて、話す機会がありましたけど、『目の前の試合、1試合1試合を全力で戦うことが一番大事だ』と。頼もしい先輩からこの言葉を聞けて、改めてその重要性に気づかされました」
2016年3月に行われた「2018年ロシアワールドカップアジア2次予選」のアフガニスタン・シリア戦(埼玉)。圧勝に終わったこの2連戦で輝きを放った清武弘嗣(ハノーファー)がこう強調したように、チームを力強く支えたのが、9ヶ月ぶりに日本代表に復帰したベテラン守護神・川島永嗣(ダンディー・ユナイテッド)だった。
2015年夏に3シーズン所属したベルギーの名門、スタンダール・リエージュとの契約が満了となった後、日本屈指のGKは欧州でのプレーに強くこだわり、新天地を探し続けた。一時、無所属となったことから、日本代表から漏れる苦境を味わったが、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「川島は経験もクオリティもある。ここ数年、先発で出場し続けている選手を簡単に外すことはできない」と言い続け、彼の復帰を待ちわびていた。1月からダンディー・ユナイテッドの一員となったことで、ようやく彼は再び日の丸をつけるチャンスを手にしたのである。
「欧州で移籍先を探している間、永嗣は私たちに『心配しなくていいから』『無事でやってる』とマメに連絡を寄越してきました。信念を貫く息子の姿を私たちはじっと見守るしかなかった。親というのは『一番のサポーター』として応援することしかできないんですよね。そのスタンスは永嗣が小さい頃からずっと変わりません」と父・誠さん、母・法子さんはしみじみと語ったが、息子の再出発を心から喜んでいるに違いない。
与野西中学校で指導した柏悦郎監督(現与野東中)、浦和東高校の恩師・野崎正治監督(現浦和南高)も「日本代表でもう一花咲かせてほしい」と期待を寄せる。こうやって献身的に支えてくれた人たちの思いを胸に、努力を重ね続けるのが川島永嗣という真摯な男である。日本最高レベルの国際経験値を誇る守護神の成長過程をひも解くことにする。
続きは『ジュニアサッカーを応援しよう!VOL.41』にてお楽しみください。