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日本代表 8年前

清武弘嗣が輝いた理由。香川との“ダブルトップ下”を可能にした心境の進化とリーダーシップ

text by 元川悦子

背中を追うのではなくチームの軸に。悩みんで悩んで掴んだ成長

香川真司
香川真司とともにチームを牽引する存在に【写真:Getty Images】

 今回のキリンカップ前の欧州組合宿でも、4対4などのゲーム形式で、レスター優勝の原動力となった岡崎に対して「オカ、行け~」と語気を強めてプレスに行かせたり、堂々と指示を出したりと、リーダーシップが前面に出るようになった。

 ブルガリア戦でも左サイドにじっとしているのはなく、香川と声をかけあってポジションを変えたり、長友の近くまで下がって守備の穴を埋めたりと、自ら積極的にチームを動かそうとしていた。

 「僕も代表に入った頃は監督のやるサッカーを体現しようとするあまり、やって悩んでやって悩んでっていうのが2~3年くらい続きました。今も監督の求めることはやろうとは思っていますよ。

 でもピッチに入ったらやるのは選手だし、相手もいるわけで、状況もどんどん変わる。だからこそ、監督が求める動きとは少し違う動きをしてみようだとか、臨機応変に対応することが大事」と清武は語る。

 やはり「判断するのも、行動するのも自分」という割り切りがどこかでついたのだろう。だからこそ今回、香川とのダブル司令塔も「活かし活かされる関係」がうまく構築できたのではないか。本人の中では「香川の背中を追いかけるだけではダメだ」という意識が日に日に強まっているに違いない。

 現在の上昇気流が続けば、「清武トップ下先発」でも十分やっていけるはず。来季移籍先としてヨーロッパリーグ(EL)3連覇のスペイン・セビージャ行きの話が出ているが、そういったハイレベルの新天地でも堂々と競争できる予感も確かにある。

 高いレベルの舞台で実績を積み重ねていけば、彼が2年前に発言した「ロシア大会でのキャプテンマーク」というのも現実にならないとも限らない。清武は、近未来の日本代表の軸を担う。そう思わせるほどの進化を見せたブルガリア戦だった。

(取材・文:元川悦子【豊田】)

【了】

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