「僕はノイアーじゃない」。研ぎ澄ます個性
川島はブルガリアのストロングポイントが嫌と言うほど分かっている。その教訓は十分に活かされるはずだ。しかも、定位置を争う最大のライバル・西川はハイボールの処理が不安視されがちだ。川島としてはこの部分で「絶対的な違い」を見せることが、定位置奪回の第一歩となってくる。
「(マヌエル・)ノイアー(バイエルン)がブラジルで活躍した後、『世界中のGKがノイアーみたいなプレースタイルを目指さなきゃいけない』という話が出ましたよね。でも僕はノイアーじゃない。
彼は確かに新たなGKの可能性を示したかもしれないけど、僕は同じことは目指しません。でも川島永嗣にできることはある。1対1の強さ、前に出る積極性、我慢しなきゃいけないところは我慢するといった部分は自分にしかできないこと。やっぱり重要なのは『オリジナルの川島永嗣』を突き詰めることなんです」
紆余曲折の1年間を経て、川島はさらなる成長を遂げるために、このような結論を導き出したという。つまり、他にはない「個性」を研ぎ澄ませていくことが、日本代表を強くし、自分自身も世界に近づく唯一の術だと考えているのだ。
今回のブルガリア戦はそれを体現する格好の場。他のGKには見せられないハイボールの処理やシュートストップの鋭さ、圧倒的なリーダーシップを強く押し出すことができれば、ハリルホジッチ監督も最終予選での守護神選択に大いに悩むことになる。
川島が三度目となるW杯の大舞台でリベンジを果たそうと思うなら、1年ぶりに与えられるこの千載一遇のチャンスを、是が非でも掴まなければならないのである。
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