ジャクソン・マルティネスは半年で放出もビジネスでは成功
そんなチームにおいて、今季加入した選手も選手層の底上げという点で大きなプラスとなっていた。DFステファン・サビッチは公式戦24試合の出場ながら守備の要がゴディン不在となったCL準決勝のバイエルンとの1stレグで穴を埋めるパフォーマンスを見せ、決勝ではヒメネスに代わって先発を果たした。
FWヤニック・カラスコは途中出場から流れを変えるジョーカーとして重要な役割を担い、CL決勝では同点となるゴールも記録。中盤のアウグスト・フェルナンデスは、負傷によって長期離脱となったチアゴに代わって先発に定着。チェルシーから出戻りとなった左SBのフェルペ・ルイスはシメオネ監督のサッカーを体現する存在として再び欠かせない存在に。
ビジャレアルから獲得したFWルシアーノ・ビエットは、主力だった昨季とは異なりベンチ要員から抜け出せず、本人にとっては悔しいシーズンとなったが、クラブにとっては将来への投資でもあり、いま失格の烙印を押すのは時期尚早といえる。
唯一“失敗”といえるのが、鳴り物入りでポルトから加入したFWジャクソン・マルティネスだろう。2014年ブラジルW杯では日本代表も2得点を決められるなど、大きなインパクトを残し、ポルトではエースとして活躍。しかし、アトレティコではリーガでわずか2得点とチームに馴染むことなく放出という結果に終わった。
ただ、アトレティコはポルトから3500万ユーロ(約43億円)の移籍金で獲得したジャクソン・マルティネスを中国の広州恒大に4200万ユーロ(約52億円)で売却しており、収支は700万ユーロ(約9億円)のプラス。選手としては失敗に終わったものの、ビジネスとしては成功とも考えられる。
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