双方の特徴とは逆の構図になったCL決勝
「カウンターアタックを戦術の基盤にするのは不可能だ」
セサル・ルイス・メノッティはそう言っている。攻撃サッカーの熱烈な信奉者である元アルゼンチン代表監督によると、カウンターアタックとは「突然芽生える恋心のようなもの」だそうだ。
アトレティコ・マドリーは守備だけのチームではない。鋭いカウンターアタックを武器にしている。ニアゾーンへの徹底した攻撃、サイドで細かくパスをつなぎきる力量など、攻撃面でも確かな力を持っている。
ただ、彼らの攻撃は守備を犠牲にしない。相手のカウンターを食らわないように計算されている。強みである堅守をキープしながらの攻撃だ。
終始弱みをみせない。しかし、これこそがアトレティコの弱みだった。
CL決勝で対戦したレアル・マドリーは普段よりずっと慎重にプレーしている。カゼミーロをアンカーに置いた4-1-4-1、いつもは攻め残るロナウド、ベイルもしっかりと引いて守備に入っている。前半に先制した後は、攻めるアトレティコと守るレアルという、双方の特徴とは逆の構図になった。
レアルの守備が盤石だったわけではない。ロナウドの守備は不安定で、ペペとラモスのCBの位置も低い。守ろうとしているわりにはバイタルエリアはスカスカで、アトレティコは何度もそこにパスを入れていた。
ところが、アトレティコもそんなレアルの守備を崩しきれない。守備のリスクを負って攻めることに慣れておらず、せっかくバイタルで受けているのに上手く仕掛けていけなかった。
その点で、レアルのほうが弱みを晒しながら戦うことには慣れていた。