知性と社会性を兼ね備えた選手
「サッカーを通じた人間教育」を謳うクラブや指導者が日本に多い一方で本当の意味でサッカーの持つ教育価値が伝わっていないように感じるのは、サッカーが「団体競技」の認識止まりでその先にある「知性」と「社会性」の重要性まで語られていないからかもしれない。
ストライカーとしてゴールを量産する一方で常にフェアプレー、リスペクトの心を持って相手や審判のことを気遣い、Jリーグ選手会の会長としても活動する佐藤寿人はまさに知性と社会性を兼ね備えた選手であり、「プロサッカー選手」の枠を超えて社会に認められている人間だ。
著書には「得点を奪うための最強理論と38のメソッド」というサブタイトルが付けられ、本人によるテクニックのデモンストレーションとJリーグでのベストゴール解説のDVDまでもが付けられている。
特にこの本はサッカーをプレーしている選手に手にとってもらいたい内容に仕上がっているが、「テクニック本」という認識で本文を読み、DVDを視聴してもたいして上手くはならないだろう。
なぜなら、いくらテクニックを身に付けても「テクニックの活かし方」を知らなければ実際の試合でテクニックを発揮し、ゴールを奪うことができないからだ。
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