チェルシー、惨憺たる1年。ポジティブな要素は皆無
今季のチェルシーが過ごしてきた1年を思い返してみるが、どれだけ振り返ってみてもポジティブな記憶が一切ない。昨季プレミアリーグ王者の威厳や風格なるものは皆無で、惨憺たる1年を過ごしてきた。
シーズン終了後の順位は10位。前年度リーグ王者としては過去最低、さらにクラブとしても95/96シーズンの11位に次ぐ成績となった。“要塞”として恐れられた本拠地スタンフォード・ブリッジで5勝9分5敗という無惨な結果となり、もはや要塞というよりもむしろ瓦礫の山と化した。
そして、クラブはひとつの決断を下す。ジョゼ・モウリーニョ監督の解任だ。第2次政権がスタートして2年目なる昨季はプレミアリーグとリーグ杯の2冠を達成したものの、今季はリーグ戦4勝3分9敗という散々な成績で“スペシャル・ワン”は2度目の解任の憂き目にあった。
ロマン・アブラモビッチオーナーは、後任としてフース・ヒディンク監督を招聘して復権を託した。これまでアブラモビッチオーナーが監督を解任した場合、後任監督は必ず順位が向上するかタイトルを獲得してきたが、今季のチェルシーにそんなジンクスが通用するはずもない。
確かに、モウリーニョ前監督が解任された時は16位だったのがシーズン終了後には10位となったので、数字上は向上しているかもしれない。ただ、カップタイトルはおろか来季のチャンピオンズリーグ(CL)、さらにはヨーロッパリーグ(EL)出場圏内にすら届かなかった。それであれば、6つも順位を上げたからと言って何も満足することはできない。
モウリーニョ前監督と同じく2度目となったヒディンク体制は、とにかく引き分けが多すぎた。15試合無敗をキープするなど一時期復調の兆しを見せたが、うち引き分けが9試合。負けないと言えば聞こえはいいが、むしろ勝ちきれない試合も多く、そのうちのいくつかを勝ち点3に変えられれば、EL出場権を夢見るくらいの順位にまではいけたのではないか。