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リバプール、クロップの掌握術で高まる来季への期待。“発展途上のチーム”は台風の目に!?【15/16シーズン査定】

シリーズ:15/16シーズン査定 text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

クロップが見せた抜群のマネジメント能力

ロジャース
解任されたブレンダン・ロジャース前監督【写真:Getty Images】

 このように、大きな期待を背負ってリバプールにやってきたドイツ人指揮官だが、チームを急浮上させたかといえばそうではなかった。戦績だけを見ても、クロップが率いた30試合は13勝8敗9分。ロジャースが続投していても同様の成績は出せたかもしれない。

 だが前監督がチームを去るころには、サポーターから指揮官に激しいブーイングが飛んでいた。前出のピアーズ記者も「アンフィールドで、監督に対してあれほどのブーイングが起こったのは見たことがない」と語るほどだった。

 また、ロジャースの周りにはいつも緊張感が張りつめていた印象を受ける。記者会見でもその緊張ぶりは見て取れた。これに対して、一方のクロップはいつもリラックスして場を盛り上げるタイプである。若い選手が多いリバプールでも、すぐにロッカールームを掌握して落ち着きをもたらすと、抜群のマンマネジメント能力でチームを盛り上げることに成功している。

 そしてこれこそがクラブ経営陣が望んでいたことである。8位という、クラブの格を考えれば屈辱的ともいえる順位でシーズンを終了したが、今ではクラブ全体に状況を楽観視するような風が漂っている。

 カップ戦で好結果を出したこともその一因かもしれない。リーグ杯では決勝進出を果たして、試合自体もリバプールが勝ってもおかしくない内容だった。ヨーロッパリーグもファイナルに進み、特に前半は完全に支配しながらも勝ち切れず、最終的には辛酸を舐めた。どちらの大会も準優勝に終わったが、だがそれでも今後に期待を持たせた試合だった。

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