ポゼッションもハイレベルなアトレティコ
この試合のスタッツを見ると、支配率が47%(レアル・マドリー):53%(アトレティコ・マドリー)、パス本数が581本:635本と通常とは逆にアトレティコがボールを支配している結果となっていた。そして、そのジダンのゲームプランは正しかったといえる。
ただ、この試合が90分で終わらなかった理由は、アトレティコというチームにある。アトレティコはボールを持つ展開となったなら、それはそれで世界トップクラスともいえるハイレベルなポゼッションサッカーを実践できる。特に、コケ、ガビ、サウールの3人は、やはりスペイン人だけにクオリティが高い。
前半をレアル・マドリーがリードする1-0で終えたが、ディエゴ・シメオネ監督はハーフタイムでの修正能力も超一級品。必ず状況を打開する手を打ってくるが、この試合ではアウグスト・フェルナンデスに代えてカラスコという選手交代策だった。
おそらく、アウグスト・フェルナンデスは守備力に特徴を持つ選手であるため、ボールを持つ時間が増えるであろう後半からは、より攻撃能力の高いカラスコが生きると考えたのだろう。
後半開始からはガビをアンカーに変更し、前半に両サイドを務めたコケとサウールを中へ。左サイドにカラスコを入れ、右サイドには2トップの一角だったグリーズマンを下げた。この4-4-2から4-1-4-1へのシステムチェンジもポゼッションの精度を高めるための策だった。
実際、後半はほとんどの時間でアトレティコがボールを持ち、開始早々にグリーズマンがPKを失敗するという、再びの“事故”が起こるものの、完全に主導権を握っていた。
そして、79分にフアンフランのクロスにカラスコが合わせて1-1。ハーフタイムにシメオネ監督が施した策は見事に的中したといえるだろう。
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