「チームメイトは俺がファイトしていたのをわかってくれていた」
そして、横浜FM戦は決して悪いことばかりではなかったようだ。試合直後は「未熟だった」と肩を落としていたが、改めて話を聞くと「俺はポジティブな退場だと思っている」と違う答えが返ってきた。この1週間ほどで、どのような心境の変化があったのだろうか。小林が続ける。
「マリノス戦の次の日、名波さんや(GMの加藤)久さんと話したら、『カードをもらうのを怖がっているような奴はいらねえ』と。『激しくやった結果、退場になるのはしょうがない』と言われた。確かに退場した瞬間は未熟だったなと思ったけど、チームメイトは俺がファイトしていたのをわかってくれていたと感じたので。
今日(鳥栖戦)出られないのはチームにとって迷惑をかけちゃったから、申し訳ない気持ちはあるけど、あの試合だけで考えたらあの退場は無駄にはならないかなと。久さん、ヒデさん(鈴木秀人コーチ)、ナナさんと話してそう思えた。それにムカついて削りに行ったわけではなく、ミスを取り返そうとしたことなので。そのことをみんなもわかってくれている」
退場は決して褒められたものではないが、気持ちを前面に押し出すことはプロとして当然の姿勢といえる。闘争心を失わず、なおかつ1週休んだことでフレッシュな状態でピッチに戻ってきた。“復帰戦となった”広島とのホームゲームで勝利を演出するアシストを記録した小林は、こうして『勝負の5月』へ突入していった。