不気味なレアルのカウンター
『ウィリアム・ヒル』のオッズに話を戻すと、両チームの数字をそのまま入れ替えるのが正当な評価と思える。仮にこの決勝が今季初の顔合わせであれば、もっとアトレティコの配当が低く、マドリーが高くてもよかった。
しかし、現体制でこの両チームは2月27日のリーガ第26節で対戦しており、アウェイのアトレティコが34%の支配率ながら1-0で勝利を収めている。つまり、ジダン監督は“アトレティコのゲーム”を一度体験していることになる。
何より、レアル・マドリーは選手の特性からすると、ロングカウンターで最も威力を発揮するチーム。もし、レアル・マドリーもポゼッションを放棄してカウンターを狙うなら、クリスティアーノ・ロナウド、ベンゼマ、ベイルの一発が炸裂するかもしれない。お互いをよく知ることが、この試合を難しいものとするだろう。
泣いても笑っても、この試合が2015/16シーズンの最終戦。最大のトピックは、レスターのプレミアリーグ制覇だった今シーズンだが、「4-4-2からの高精度のプレッシング」という同じ特徴を持つアトレティコが欧州を制すれば、来季のサッカーシーンは新たな展開を迎えるだろう。
(文:海老沢純一)
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