完璧に浸透したシメオネ監督の哲学
アトレティコは、フラットな4-4-2と4-1-4-1を使い分けるシステムから精度の高いプレッシングを仕掛け、相手にボールを回させながらも敵陣へと押し込んでいく。
アトレティコのホーム、ビセンテ・カルデロンで行われたバルセロナとのCL準々決勝2ndレグでは、ボール支配率が28%だったが、ピッチを6分割してボールが展開した位置を見てみると、バルサのゴール前が最多。そのスタイルは守備的ではなく、むしろ攻撃的といえる。
当サイトが制作しているウェブ番組『Fchan TV』でMCを務めるAKB48の小嶋真子さんは、このアトレティコのスタイルを“エスカレーター・プレッシング”と名付けた。理由は「一度乗ったら、あとは登るしかない」とのことだが、アトレティコのスタイルを上手く表現した名称である。
4-4-2もしくは4-1-4-1の陣形が乱れることなく、全体が連動したプレスによって、ボールを持つ相手をじわじわと敵陣ゴール前まで押し込んでいく様は、確かに「エスカレーター」のようだ。
ディエゴ・シメオネ監督は、自らの哲学を「パルティード・ア・パルティード(試合から試合へ)」と語っているが、1つ1つの試合に集中すること5年、その思想は完璧にチームに浸透している。
例えるならば、超高級でなくとも選び抜かれた厳選食材による絶品料理。じっくりと丁寧に味付け・調理を施して昇華させた。つまり、真に“面白いサッカー”を実践しているのはアトレティコだといえる。
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